たうまちざい(2)知財業務、どのAIに手を出すか?

現在、とある愛知県企業の知財部に勤めているのですが、そこでは特許チームの社員全員にChatGPT(Team)のアカウントを用意してくださっています。
使わない日はないと断言できるレベルで活躍していただいています。

ところがどっこい。
最近、Claudeが気になって仕方がない。気になりすぎて夜しか寝れない(嘘)。
ということで、ChatGPTとClaudeで知財業務をやるならば、と色々比較してみました。
Claudeはとりあえず無料版を登録しました。
あ、特許の検索については、Perplexity一択っぽいのですが、この観点についても一応評価してます。

質問①:ChatGPTからClaudeへの乗り換えを検討しています。 できること、できないことを客観的に判断してまとめてください。

ChatGPTの回答
 あなたの用途が、企業の知財部での OA検討、クレーム対比、文献要約、Excel処理、文書作成、調査、社内外メール・カレンダー連携 であるなら、現時点では ChatGPTから完全にClaudeへ乗り換えるメリットは限定的です。
 一方で、Claudeは 長文の自然な文章作成、コード作成、エージェント的な長時間タスク、Google Workspace連携 に強みがあり、特に 意見書案・説明文・読みやすい社内報告文の初稿作成 では比較対象として使う価値があります。AnthropicはClaude Sonnet 4.6を複雑なエージェント処理やコーディングで改善したモデルとして位置づけており、Claudeの全プランで利用可能としています。

○ChatGPTでできること
1.知財業務にかなり寄せた使い方ができる
2.ファイル処理・表計算・成果物作成に強い
3.最新情報・Web調査を組み込める

○Claudeでできること
1.長文ドラフトが自然で読みやすい傾向
2.コーディング・エージェント系に強い
3.Google Workspace連携がある

Claudeの回答
私(Claude)とChatGPTの主な違い
○文章・ライティングの質
 Claudeは長文の文章品質において高い評価を得ています。レポート、メール、小説、技術文書など、自然で一貫した文体を維持するのが得意です。ChatGPTは箇条書きや構造化を多用しがちですが、Claudeはより「人間らしい」文章を書く傾向があります。
○長いコンテキストの処理
 Claudeは非常に長い文書の読み込みと分析が得意です。長い契約書、論文、コードベースを丸ごと読んで質問に答えるといった用途で強みがあります。
○コーディング
 どちらも高水準ですが、Claudeはコードの説明の丁寧さと、複雑なリファクタリングや設計の議論において好評です。Claude Codeというコーディング専用CLIツールもあります。
○思考・推論
 私が動いているSonnet 4.6も推論能力は高いですが、もし推論重視であればClaude Opusシリーズがより深い思考を行います(Proプランで利用可能)。
○安全性・誠実さへのこだわり
 AnthropicはAIの安全性研究に特化した会社で、Claudeは「知らないことは知らないと言う」姿勢が強いです。自信ありげに間違いを言いにくい設計になっています。

◆わたしの感想
どちらも同じく客観的に回答してきたっぽいですね。
ChatGPTの「1.知財業務にかなり寄せた使い方ができる」については、日常の業務で作成したGPTsたちの存在をもって有利があると判断したっぽいので、まっさらで使い出すことを考慮すれば、両者同等といった感じだと思います。
Claudeが回答してきた「ChatGPTは箇条書きや構造化を多用しがち」これはマジ。何とかしてほしい。
あと面白いなと思ったのは、Claudeの「AnthropicはAIの安全性研究に特化した会社で、Claudeは「知らないことは知らないと言う」姿勢が強いです。自信ありげに間違いを言いにくい設計になっています。」という回答。僕は嘘をつきません!というAIほど怪しいものはない、とすぐ思うくらいには生成AIに毒されています。

質問②:100ppb以上のフェネチルアセテートを含有する製品を製造したいです。権利が消滅している特許も含めて、関連する特許公報を検索してください。

◆ChatGPTの回答

注意度公報・ファミリー権利者対象技術・濃度状態の目安
JP7776412B2 / WO2021193925A1「火入れ醤油」キッコーマン火入れ醤油中フェネチルアセテート 30 ppb以上、好ましくは30~20,000 ppb、さらに30~3,000 ppb。100 ppb品は範囲内。ファミリーにJP7776412B2、EP4129088B1、CN115334908B等あり。([Google Patents][1])JPはActive表示。WOはPCT段階ではCeasedだが国内移行JPが登録。([Google Patents][1])
JP7024054B2 / JP2021182903A「容器詰調味用組成物…」キッコーマンしょうゆ、肉、大豆たんぱく等の加熱劣化臭・レトルト臭抑制。請求項例として、しょうゆ含有かつフェネチルアセテート 1.0 ppb以上1,000 ppb未満の容器詰調味用組成物又は容器詰加工食品。(J-GLOBAL)Active、満了予測2040-05-22表示。([Google Patents][3])
JP7560348B2 / JP2021182904A「容器詰調味用組成物…」キッコーマン同一・近接ファミリー。フェネチルアセテート、しょうゆ、肉、大豆たんぱく、加熱劣化臭抑制系。ファミリー内にJP6815549B1、JP7024054B2、JP7560348B2、JP2021191300Aが存在。([Google Patents][4])Active、満了予測2040-05-22表示。([Google Patents][4])
JP2021191300A「容器詰調味用組成物及びその使用…」キッコーマン調味料成分、野菜類、肉類、魚介類等とフェネチルアセテート 1.0 ppb以上1,000 ppb未満。しょうゆ・肉類・大豆たんぱく等のレトルト臭/加熱劣化臭抑制。([Google Patents][5])Pending表示。([Google Patents][5])
JP7702373B2 / JP2022092025A「容器詰組成物及び柑橘類の果汁の香味改善方法」キッコーマン柑橘果汁とフェネチルアセテート 1 ppb~2,000 ppb。容器詰組成物、容器詰加工飲食品、柑橘果汁の香味改善、テルペン類減少抑制。100 ppb品は範囲内。([Google Patents][6])Active、満了予測2041-03-26表示。([Google Patents][6])
中~高EP4129086A1 / US20230129251A1キッコーマン上記柑橘果汁系の海外ファミリー。容器詰組成物、加工食品・飲料、方法クレームとして、柑橘果汁+フェネチルアセテート 1~2,000 ppbを記載。(Google Patents)国別に要確認
JP2026026262A「容器詰組成物及びその使用並びに容器詰加工食品」キッコーマンフェネチルアセテートとアラニンの組合せによる畜肉風味改善。牛肉、豚肉、鶏肉の調味液例。実施例では豚肉・鶏肉で 20 ppbを基準にした評価、1 ppb以上で改善、20 ppb以上で顕著と記載。100 ppb配合は技術思想上近接。([Google Patents][8])公開段階
JP7605676B2 / JP2022127549A「加熱劣化臭の抑制方法…」キッコーマン主成分はγ-ノナラクトン系だが、実施例でフェネチルアセテートとの比較・併用評価あり。しょうゆに対する加熱劣化臭抑制・風味改善作用の評価でフェネチルアセテート溶液を調製。([Google Patents][9])Active、満了予測2041-03-25表示。([Google Patents][9])
JP2025027146AキッコーマンJP7605676B2の後続・関連出願。γ-ノナラクトンとフェネチルアセテートのしょうゆ加熱劣化臭抑制評価を記載。([Google Patents][10])公開段階
参考JP5993526B1「ぽん酢醤油調味料」Mizkanフェネチルアセテートではなく、柑橘果汁・食酢・醤油含有ぽん酢醤油で、p-シメン、K、Na、酢酸、クエン酸の範囲によりヒネ臭・加熱劣化臭を抑制。柑橘+しょうゆ+加熱劣化臭という近接分野の先行技術。([Google Patents][11])Active、満了予測2036-01-14表示。([Google Patents][11])

◆Claudeの回答
直接的に関連する特許(最重要)
キッコーマン株式会社「火入醤油(殺菌醤油)」関連ファミリー
優先権主張日は2020年3月26日で、以下のファミリーが見つかっています。

WO2021193925A1(国際公開、Pasteurized soy sauce/火入醤油)
US20230138426A1(米国出願、ステータスは「Abandoned(放棄)」)
EP4129086A1(欧州、柑橘果汁とフェネチルアセテートを組み合わせた組成物に関する別出願として公開)

この発明の要旨は、醤油・ポン酢中のフェネチルアセテート含有量を「30ppb以上、好ましくは50ppb以上、より好ましくは100ppb以上」とし、上限は20,000ppb未満(好ましくは3,000ppb以下)とすることで、加熱劣化臭の抑制と「醤油らしい香り」の増強・呈味改善効果を得るというものです。EP4129086A1の方は柑橘果汁を含む容器詰め組成物について、フェネチルアセテートを1〜2,000ppb含有させる構成を別途クレームしています。
「100ppb以上のフェネチルアセテートを含有する製品」を企画される場合、用途が調味料・果汁系飲料・ポン酢・たれ類などであれば、このファミリーが最も注意すべき先行技術・抵触可能性のある特許になります。日本出願(優先権基礎出願)の公開番号・登録状況についてはJ-PlatPat等で原文確認することを推奨します(米国出願は放棄されていますが、対応する日本出願や他国出願の権利状態は別途確認が必要です)。

◆わたしの感想
これはChatGPTに軍配でしょうか。
ChatGPTの2行目にある、JP7024054B2の特許公報を一発で探してほしかったんですが、ClaudeはEPのファミリーを見つけて終了でした。
このあと、Claudeに「JP7024054B2の特許公報を見つけて欲しかったんだが、見つけられなかった理由はあるか?Pro版になればその理由は解消するか?」と追加で聞いてみたところ、以下の回答でした。残念。

ヒットしなかった原因はモデルの性能ではなく、検索の仕組みの限界にあります。
私が使えるのは一般的なWeb検索(Google検索相当)であり、これはキーワードの関連度で結果を返します。特定の特許番号を事前に知らない限り、以下の壁は変わりません。
 ・「7024054」という番号自体をキーワードとして検索しない限りヒットしない
 ・キーワード検索では関連度が低い特許は結果に出てこない
 ・J-PlatpatやEspacenetのような特許データベースへの直接アクセスが私にはない
Proで変わるのは主に回答の質・深さ・使用回数であり、検索ツールの性質は変わりません

質問③:知財業務で使用する際の両者の比較表を作成してください。(評価項目、評価基準は両者揃えました。)

◆評価基準
| 5 | 知財実務で主力として使いやすい。精度・作業効率・成果物品質の面で明確な強みがある
| 4 | 実務利用に十分適する。人間確認を前提にすれば安定して使える
| 3 | 用途を限定すれば使える。成果物の再確認・補正がやや多い
| 2 | 補助的には使えるが、知財実務の主工程には不向き
| 1 | 知財業務では基本的に非推奨、またはリスクが高い

◆ChatGPTの回答

評価項目評価観点ChatGPTClaudeコメント
1. クレーム分解・構成要件整理請求項を構成要件に分け、技術的特徴を整理できるか54ChatGPTは表形式・対比表・コメント列付与との相性が高い。Claudeも十分強いが、知財用の構造化作業ではChatGPTがやや扱いやすい。
2. OA検討・拒絶理由対応新規性、進歩性、36条系の論点整理ができるか54ChatGPTは論点分解、反論方針、補正方針、対比表作成に向く。Claudeは文章化は上手いが、法的論理の表組みではChatGPTがやや有利。
3. 侵害予防・FTO一次評価製品仕様と請求項を比較し、リスクを一次判定できるか53FTOは構成要件ごとの該非判断、判断理由、保留事項の明示が重要。ChatGPTの方が表形式・Excel処理と組み合わせやすい。
4. 特許リスト・Excel処理大量の公報リスト、請求項、コメント列を加工できるか53〜4ChatGPTはExcel/CSV分析、列追加、分類、スコアリングに強い。Claudeもファイル処理可能だが、実務的な表計算加工ではChatGPT優位。
5. PDF・明細書読解公報、OA、引用文献、審査書類を読めるか44どちらも強い。ただし長いPDFではどちらも見落としリスクがある。重要案件ではページ・段落・請求項番号単位で確認すべき。
6. 長文ドラフト品質意見書案、社内報告、説明文を自然に書けるか45Claudeは長文の自然さ、読みやすさ、トーン調整に強い。意見書案や社内説明文の“文章化”ではClaudeに優位性がある。
7. 技術内容の平易化研究者・事業部・非知財部門向けに説明できるか45Claudeは読み手に合わせた柔らかい説明が得意。ChatGPTは構造化説明に強い。
8. 根拠・出典付き調査Web情報や公式情報を確認し、出典付きで整理できるか54この環境のChatGPTはWeb確認と出典提示を組み込みやすい。ClaudeにもResearch/検索機能はあるが、利用条件・プラン差がある。
9. ファイル成果物作成Word、Excel、PowerPoint、PDFなどの成果物を作れるか53〜4ChatGPTは成果物作成・編集との相性が高い。Claudeもファイル作成機能は拡張されているが、実務での安定性は環境依存。
10. Google連携Gmail、Calendar、Driveとの接続・横断利用3〜45ClaudeはGoogle Workspace連携を前面に出しており、個人Gmail/Calendar/Drive活用には強い。公式ヘルプでもGmail、Calendar、Drive対応が明記されている。(Claude ヘルプセンター)
11. 社内情報の安全運用会社ルール・機密管理・監査性との相性4〜52〜4社用PC・会社契約・会社許可範囲で使うChatGPTは運用しやすい。私用PCのClaudeで業務情報を扱うのは非推奨。Claude自体の問題ではなく、私用環境で会社情報を扱う点がリスク。
12. 学習用途個人学習、資格勉強、論文読解、語学学習45iPadや個人Google連携を使う自主学習ではClaudeがかなり有力。会社情報を混ぜなければ相性が良い。
13. コーディング・自動化Python、VBA、業務ツール作成、スクリプト生成45Claudeはコーディング支援で評価が高い。ChatGPTも強いが、Claudeは長いコード修正や開発支援で試す価値がある。
14. 知財特化プロンプト運用知財業務の型に沿って継続利用しやすいか53〜4このChatGPT環境では知財業務向けに使いやすい。Claudeでもプロジェクト設定や定型プロンプトを整えれば近づく。
15. 総合実務適性知財部の日常業務で主力にできるか54Claudeは優秀だが、あなたの業務ではChatGPTを主軸、Claudeを個人学習・文章化・Google連携用途に分けるのが合理的。

◆Claudeの回答

項目ChatGPTClaudeコメント
1. クレーム分解・構成要件整理44どちらも構成要件への分解・整理は十分対応可能。優劣をつけるほどの差は感じません。
2. OA検討・拒絶理由対応44論点整理・反論方針の検討は両者とも可能。法的論理の組み立てに大きな差は見出せません。
3. 侵害予防・FTO一次評価44今回の会話で実演した通り、Claudeでも構成要件ごとの該非判断・リスク整理は可能でした。
4. 特許リスト・Excel処理43ChatGPTのExcel/CSV処理(Code Interpreter)は実務的に成熟しており、安定性で優位。Claudeも処理可能だが確認が必要。
5. PDF・明細書読解44両者とも長文読解は強い。今回の会話でも特許明細書の読解・要約は問題なく機能しました。
6. 長文ドラフト品質45意見書・社内説明文などの自然な文章生成はClaudeに優位性があります。
7. 技術内容の平易化44どちらも読み手に応じた説明調整は可能。明確な差は確認できません。
8. 根拠・出典付き調査43今回、特許番号での直接検索がヒットしないという限界が実際に確認されました。ChatGPTのカスタムGPT(御社構築済み)の方が実務的に優位な可能性が高いです。
9. ファイル成果物作成43Word/Excel/PowerPoint作成機能はChatGPTの方がこなれている印象です。
10. Google連携33両者ともGoogle Workspace連携機能を持ちますが、実際の使用感は環境・設定に依存するため、この場で優劣を断定するのは適切ではありません。
11. 社内情報の安全運用44企業向けプラン(Team/Enterprise相当)であれば、両者ともデータ取扱いに関する契約・設定が可能です。優劣はプランの契約内容次第であり、製品自体の差ではありません。
12. 学習用途44個人学習・調査目的では両者とも十分機能します。
13. コーディング・自動化45Claudeはコーディング支援で高評価を得る傾向があり、特に長いコードの修正・説明で強みがあります。
14. 知財特化プロンプト運用43御社で構築済みのカスタムGPTは、今回の検証でも実際に機能していると推察され、その運用実績の蓄積分でChatGPTに優位性があります。
15. 総合実務適性44両者とも高水準ですが、御社の現状(カスタムGPT構築済み・ChatGPTでの文書作成に満足)を踏まえると、ChatGPTを主軸とする現状の運用判断は合理的です。

◆わたしの感想
前述にもあるが、ChatGPTはこれまでに作成したGPTsを活用する上での評価になっているので、やや(かなり?)甘め判定になっている気がいたします。
決めて的には質問②の検索結果が全てな気がしますが、自主学習用と文章作成能力に優がついているClaudeはやはり気になりすぎる。。。



とりあえずの総括(わたしの感想)

Claudeの文章作成能力がいかんせん気になります。ChatGPTで検索→Claudeで情報提供文章作成とか普通にやってみたい。
このHPのテーマのソースコードも直接いじってくれるみたいですし。とりあえず1ヶ月は契約して楽しもうかと思います。
使用感についてはまた今度ご報告ー。


おわり。